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東葛中受検にまつわるエトセトラ

塾なし大学受験①

先日「大学受験と塾」について書いたばかりですが、今日は塾なし大学受験をテーマにしてみたいと思います。

ユズの姉ミカンは、東葛から塾なしで国立大に進みました。

まず確認しておくと、受験生の立ち位置と志望校までの距離は、人によって違いますよね。ですから人の体験談なんて、役に立たないのが普通です。

それでも、共通テストがセンターだった頃、そしてコロナ以前の東葛生の様子を”サンプル1”としてご紹介することで、ここ数年の入試の変化を眺めてみたいと思います。

塾を使わなかった理由

ミカンは部活と行事に重点を置いたので、規則正しく塾に通うという選択をしませんでした。
また、志望大学が旧帝大のような難問を出さないこと、文系ということもあり、市販の参考書である程度いける気がしていました。

そして、ミカンが耳で聞くより、自分のペースで文字を読む方が理解しやすかった、というのも集団塾や映像授業を選ばなかった理由です。

インプットしやすい方法

「読むのも聞くのも、理解のしやすさに変わりはない」
という人もいますが、文字を読むのに時間がかかったり、映像授業がなぜか苦手と感じている人もいらっしゃるのではないでしょうか。

私自身は読むより聞く方が好きで、本はキンドルで購入しスマホの読み上げ機能を使ったりします。

ユズは聞くより読む方がラク
ところが紙に書くのが好きではないので、高校にiPadを持ち込んで、板書やプリントへの書き込みはスタイラスペンとGood Notes 5というアプリを使っていました。
東大の二次試験の記述用紙は特殊なので、ダウンロードできるサイトから本番と同じ大きさに印刷して、書き込むことに慣れたそうです。

このように人には得手不得手がありますから「一斉に映像授業」とか、「参考書を読めばいい」と押し付けるのではなく、本人が選べた方がいいと思います。

塾で集団授業を受けていると「聞いているだけ」になってしまう人は、参考書を中心にコーチング系のオンライン塾を使った方が、本人が理解しやすいケースもあるかもしれません。

ミカンのタイムライン

ミカンは部活に熱中して、高2の秋に周りの影響で受験勉強を始めましたが、その頃はまだ本気とは言えませんでした。

高3の4月に部活を引退。
いよいよ受験生と思いきや、ミカンは学校行事の合唱祭で役割を引き受けて、6月はめいっぱい行事に打ち込みました。

今でも覚えているのは、三大祭の1つ、スポーツ祭から帰宅し、疲れて倒れ込んだ状態から
「タテ、タツンダ…」
と呟きながらバスパン姿で立ち上がった、スポコン漫画のようなミカン。
スポーツ祭の直後に、合唱祭の書類審査や練習が始まるので、その日の晩に準備しないと間に合わなかったのだとか。

合唱祭を終えて、いよいよ受験生!と思いきや、9月の文化祭の準備が始まりました。
「さすがにもうやらないよ」
とミカンは言っていたのですが、クラスの皆があれこれやろうと盛り上がってたのに、いざ準備に入ると塾で来なくなってしまいました。

仕方なく夏休みの活動日は、毎朝9時に学校に行って、文化祭の準備をしていました。
気がつけば、そこに集まるのは塾なし組と、時間に融通のきく東進勢。

それでも、皆で勉強クイズを出し合ったりしながら2時間ほど作業し、自習室に向かうという、それなりに規則正しい生活ができたようです。

後から知ったのですが、高3の夏休みは、ユズよりミカンの方が勉強していたことが、スタディプラス(時間記録アプリ)で発覚しています。

団体戦じゃない受験

文化祭を終えて、ミカンはようやく戦闘モードに入りました。
ここからのミカンは個人主義を徹底して、鑑賞行事などは休んで勉強し、家ではバタバタと走っていました。
リビングでのんびりしていると家族に流されるので、椅子から立ち上がると走っていたのだとか。

また、コンビニに行く時間がもったいないというので、休日でも弁当を持たせ、夜の弁当を私が地元の自習室に届けました。

東葛は自称進学校っぽい所があって、高3の年明けからセンター/共テまで授業があるので、この期間は必須の日以外休みました。
誰に何を言われようと、折れない心が必要でした。

担任の先生が「〇日は調査書を配るので必ず来て」などと明示してくださったのもありがたかったです。欠席を嫌がる先生もいるので。

センター試験までの4ヶ月間、ミカンを支えたのは
「部活と行事ばかりやっていたから落ちた」
と人に言わせたくない、という執念でした。
それだけ、東葛で打ち込んだことを大切にしていたのだと思います。

この年の合唱祭をご覧になった東葛OBの方が、とても素敵な言葉を残されています。
Twitterが開ける方は、ぜひこちらの連ツイをご覧ください。

 

引用
ここで私が言いたいのは単に一人一人の小さいことの積み重ねが大事ってことじゃない。
「周囲数人の考え方や行動を変える」っていうことは、全然小さいことじゃない。むしろめちゃめちゃ大きいし難しい。
強い思いに裏打ちされた強い言葉や強い行動がなければ到底できないと思う。
目立たないかもしれないけど、そういうことをやってのけた人が、たぶん各学年に10人とか20人とかいてそれが合祭を良くしてるんだと思う。
引用おわり


東葛生の中には、こんな風に部活や行事に打ち込んで、高3後半に無茶苦茶追い込んで大学に合格する人がいたし、それが公立進学校の面白さでもありました。

センターから共通テストへ

ユズが受けた2022年の共通テストは、努力を評価するよりも「情報処理能力」を測るテストに変わってしまった、と言われています。
中には良い変化もあるけれど、「思考力が測れる」なんて言っているのは、文科省文教族と取り巻きくらいですね。

東葛生がネタにしていた「白波瀬曲線=入学後に成績が落ちるが最後に挽回する」は通じにくくなり、世間では中学で先取をして高2の秋に部活を引退するような、進学校礼賛な空気を感じます。

これからは、保護者も過去の東葛生のイメージを強要してはいけないと思う一方で、部活も行事も二の次で、東大合格者を増やせ!なんていう学歴厨みたいな価値観をぶつけるのも、ほんと良くないと思います。
「浪人が多い」も過去のイメージ。
アップデートが必要ですね。

長くなったので、塾なし大学受験での具体的な工夫は、次回に続きます。