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東葛中受検にまつわるエトセトラ

東葛飾高校について

先日始まったドラマ「健康で文化的な最低限度の生活」。わがやは原作コミックスを家族で読んでいます。ドラマ化に驚いていたら、作者の柏木ハルコさんが東葛飾高校の卒業生と知ってさらに驚きました。

様々な卒業生がいる東葛高校ですが、他県からいらっしゃった方にとっては、イメージが掴みにくいかもしれません。そこで改めて、高校について受験の概要と、私の個人的な考えを書いてみたいと思います。


【千葉の高校入試】
千葉県はもともと公立志向が強い地域。中学3年生の8割近くが公立を第一志望としているそうです。
志望校を決める際、県立では「Vもぎ」、都内を含めた難関校を目指す場合は、駿台模試がよく使われるようです。Vもぎは一部の私立高校で、併願推薦の基準にも使われます。

2019年度用のVもぎ偏差値表から、千葉県と近辺の上位校を抜き出すと、このようになります。

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V もぎの偏差値表はこちら
V模擬高校偏差値(2019年度) – 東松戸学習教室

学区制について
県立高校の学区制の御案内/千葉県

隣の学区であれば通学できるため、校風によるミスマッチを避けて
「自分は船高の方がいい」
東葛の方がいい」
と、あえて遠い学校を選ぶ人、また校風を気に入って他県から越境する人もいらっしゃるようです。


【内申】
小学生の親御さんにとって、中学の内申は気になる存在ではないでしょうか。
東葛高校は、これらの学校の中では内申の比率が高い方といえるでしょう。
※追記:
令和2年度募集より、東葛も船高と同じく内申を×0.5に圧縮するように変更されます。以下の記事は去年までの募集要項に基づいています(2019/11/30)

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(小金は東葛地区で二番手となるので比較しました。)

県千葉には「俺ら学力一本勝負だぜ!」という気概が感じられます。

東葛高校は、中1~3年の内申が加わります。
校則が ”下駄とサンダルはだめ" 程度の私服高校ですが、中学時代をまじめに過ごしてきた生徒が評価されるシステムと言えるでしょう。

とはいえ、入試で点数を稼げば帳尻は合うので、必ずしも先生受けが良くなくても合格する人はいらっしゃるそうです。内申点は、学校によって偏りがあると思われがちですが、千葉県では、学校間で細かい数値を使い調整しています(優秀な子が集まっている学校は損というデメリットがあります)。相対評価ではなく絶対評価です。

重視すべきは当日の入試。内申は欲しいが恐れるものではない、と考えるのが妥当ではないでしょうか。


東葛・考】

高校について生徒さんの声が紹介されている口コミサイトがあります。
東葛飾高校の口コミ | みんなの高校情報 

生徒さんの言葉に度々出てくる「勉強しなくなる」という噂について、ここでは掘り下げてみたいと思います。

少し前に、「勉強できる子卑屈化社会」という本が話題になったのをご存知でしょうか。

公立学校や社会において、勉強できることがいかに肩身の狭いことであるかが、当事者の心をえぐるリアルさで描かれた本。

この本は、勉強できる子が心に抱く「うしろめたさ」にスポットを当て、彼らが上位集団に埋もれ、安心する心理を解説しています。

勉強ができることは、1つのアイデンティティであるけれど、自分が集団の中で目立つ存在でなければ、努力を続ける意味を見失ってしまう。
そのことを著者は「集団の中に埋没する喜び」と表現しています。

中学で内申125をさらい、生徒会長や歌声委員長を務めたような子が、集団に埋没する喜びを知ってしまうことは、果たしてネットで叩かれるような「悪」なのでしょうか。

ここで、メディアで描かれる「勉強できる子キャラ」を思い浮かべてみましょう。

メガネをかけている
運動が苦手
「先生、授業を進めてください」的なことを言う
校則はがっつり守る
おしゃれには縁遠い
人間的な温かみに欠ける
大人の言いなり
ゆがんだ性格を持つ
(「勉強できる子卑屈化社会」より)

ひょっとして、東葛高校に入った子たちは、こういった決めつけから外れたいのではないでしょうか。

また、この本には「学校の勉強なんか役に立たない教」という迷惑な宗派が登場します。

親戚のおじさんが
成績がよくても、それだけじゃぁダメだぞ
などと説教してくるのがそれにあたります。
「勉強ができていいわね。うちの子にも分けてほしいわ!」
と言っていた大人が、
「勉強しかできないようじゃね」
と陰で言うのもそれ。

実は、わがやはそのような考えを持つほうです。
勉強は役に立つと思うので、その点は異なるのですが、「勉強だけじゃぁダメだぞ」的な思いは強い。

気を悪くされたら大変申し訳ないのですが、東葛生の親御さんも「勉強だけじゃぁ」的な考えを、お持ちなのではないでしょうか。(違っていたらゴメンナサイ) 

そんな親御さんのもとで育ち、勉強できる子キャラから脱したい子にとって、東葛は様々なアイデンティティで自分を試せる場所。そのアイデンティティは、一周回って勉強(大学)というケースもあるでしょう。

東葛高校は「相手を認め、話し合う」ことに時間を割いているように思います。理想的に聞こえますが、これは実にめんどくさい。
相手を認めるところでモメる。
話し合うところで、またモメる。

いつか生徒自身が「モメるのはやめよう」と決めた時には、ゴタゴタする=行事をするのは止めて、勉強中心の学校に変わる事だってあるかもしれません。

傍から見たら、「そんなことは学校が決めればよい」と思われるでしょうけれど、そう易々と生徒たちは言いなりにならないでしょう。


【浪人について】
よく言われる「浪人が多い」という言葉について。
東葛は現役率を公表していないのですが、資料をお借りして、下のサイトと同じように7年間の現役率の平均を出してみました。すると、

中学受験DEEP-INSIDE 変化に価値を認めないのだとしたら、それは…
こちらの現役率と比較すると、東葛男子は、海城と本郷の間

中学受験DEEP-INSIDE 女子校の現役進学率は…
東葛女子は白百合と同じ
ということがわかりました。

DEEP-INSIDE様のデータは2011~2017年、東葛は2012~2018年の平均、と1年ズレています。私大の定員厳格化が顕著になったのがこの2年なので、東葛は多少低く出ている可能性はあります。

高校が現役率を公表すればいいだけの話ですが、つまり在校生は「浪人が多い」と思考停止する必要はない、ということです。地域の大人や東葛生は実際よりも浪人生が多いと信じている風潮を感じます。


と、ここまで書いたところで、ネットでこのような記事が流れてきました。

 

www.nhk.or.jp


テストのあり方は違いますが、ここで書かれている価値観は、どこか東葛に似ている気がします。
(ちなみに、東葛中の英語のテストは麹町中に似たところがあります)

さて、みなさんの認識と違いはありましたでしょうか?