2022年2月「私大入試はじまる。英語学習について」
高3の2月
私大の初戦、東京理科大の個別入試が終了しました。
国立と、併願で出願した早稲田に気持ちを切り替えます。
早稲田理工の入試は、英語が難しく数理勝負になるため、ユズにとっては東大より厳しい判定です。
過去問に取り掛かったところ、英語は思っていたよりは読めそう、とのこと。
キムタツSUPER の効果だそうで、キムタツ本は毎日お風呂に持ち込んで音読しています。
共通テスト前は
「Z会の対策本は難しすぎるので勧めない」
という評判が多かったけれど、あえてそれを選択したことで、結果的には難化に耐えられました。
キムタツSUPERも「ここまでやらなくてよい」という評判だったけれど、やって良かった。
様々な選択肢の中で、自分に合った負荷をかけることが大切なのでしょうね。
下地ができていないのに難し過ぎる事をやると、ユズにとっての数学のように、辛いものになってしまう。
そんなことを考えていたら、『宇宙兄弟』の編集者、佐渡島さんがこんな事を仰っていました。
「人は 自分が出来ることだけが大好き。
出来る事を繰り返している状態がすごく楽しい。
飽きそうになる前に、マイルールを足して
ギリギリできるくらい課題を難しくすることで
夢中になれる」
このことを英語学習に重ねると、思い出すことがあります。
ユズは東葛中に入ってから、MYPという英語の課題を、人と同じくらいやっていました。
入学から半年たった頃、アメリカで大統領選挙が行われました。
ニュースで就任演説が流れた時、ユズがハッとして言いました。
「あれ?なんか分かる」
それまで英語の授業で、立ったまま繰り返し練習させられていたことが、言語の型だと気づいたようでした。
それはまさに、
映画「ベストキッド」で、師匠のジャッキー・チェンから単調な作業をさせられてきた主人公が、カンフーの型を身につけていた と気づくシーン。
それからユズは MYP に大統領の演説を使うように変えてみたそうです。
すると学校の先生が声を掛けてくださいました。
「MYPをもう少しやってみたら?」
自分の試みに気づいてもらえたことが嬉しくて、ユズは少し英語が好きになりました。
こんな風に、少しずつルールを変えていくことが、夢中になるための一歩なのかもしれません。
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英語学習について、もう1つ思うことがあります。
以前書いたことがある
演繹的学習と帰納的学習 のバランスを、どう取っていけばいいのか、ということ。
ユズは中学に入る前の春休みに、NHK「テレビで基礎英語」という2014年に終了した番組の録画を観ました。
これは、NHKプロフェッショナルでも特集された名物先生、田尻悟郎先生が監修された子ども向けの英語番組で、語順の教え方が秀逸でした。
子役のまえだまえだ と、吉本の小藪さんが漫才風に掛け合いをするとか、
田尻先生の教え子の野球部員たちが、野球のグランドで文法を実践するのが、めちゃめちゃ面白い。
まえだまえだ がオナラをしても、そのまま放送してしまうなど、NHKも臨場感を大切にして、攻めた番組作りをしていました。
この番組で文法にゆるく触れた事で、ユズは学校での帰納的学習にうまく乗ることができたように思います。
テレ基礎の後番組で良いものがあれば、このブログで勧めたいと思っていたのですが、実はこれを最後に、NHKの語学番組から語順を全力で実践する試みが消えてしまいました。
なぜなら、文科省の学習指導要領が変わったから。
今は文法軽視、公立小中では「教えない授業」も流行りだと聞きます。
こちらの動画のリンク箇所から3分ほど見て頂くと、文科省が 文法は推し量るもの、と現場に下ろしている事が伝わってきます。
子どもたちが「推し量る」ことができるなら、心配する必要はないでしょう。
しかし、推し量ることが苦手な子もいますから、小学校の集団授業でうまくいくのか私は疑問に思います。
皆さんはいかが思われるでしょう?
東葛中ではアウトプットだけでなく、インプットを重視していました。
アウトプットにはインプットがセットで必要だと思います。
もし本人が、インプットとアウトプットとの行き来の中で、法則性をつかめず悩む事があれば、文法的なアプローチに触れてみるのもいいかもしれません。
ただし、ガッチガチの文法問題集を解くように指示したり、帰納的に英語を浴びることを親御さんが否定したりすると、環境はねじれてしまいそう。
語順や文法には「いい塩梅で」触れられると良いのではないかと思います。
まずは「嫌いにならないこと」が最重要ですね。
お子さんが、自分ができることにギリギリできるルールを足して、夢中になるための一歩を踏み出していけますように。
その勇気を応援しています。