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東葛中受検にまつわるエトセトラ

高校の英語がつまらなくて通い始めた河合塾

 

教育制度の端境期


このブログの1つ目の記事に、
「2002年度~2005年度生まれは、旧来の学習指導要領で勉強しながら、センター試験に代わる新テストを受けることになりそう」
と書きました。

本来、2022年度から始まる新指導要領で学んだ後、それに対応する新テストが始まるのが筋なのに、なぜか2020年度(2021年1月)に共通テストがスタートしたのですよね。

引用:学習指導要領改訂に関するスケジュール(pdf)

その理由を、有識者会議の委員や大学教授、国会議員などが調べましたが、根拠は分からなかったそうです。
「オリンピックイヤーに合わせたかっただけ」なんて噂もあります。

そのような制度の端境期に、学校の先生を特に悩ませたのが、英語の教科ではないでしょうか。

帰納的・演繹(えんえき)的学習


現在、小学校5・6年生は英語が教科化されていますが、文法は教えず、子どもたちが推し量るとされています。

これはたくさんの英語に触れて、文法を習得していく「帰納的」英語学習の考え方。
小中高を通して「失敗を恐れずに英語を話す」という掛け声も大きくなりました。

これまで一般的だった「演繹的」文法指導は、スピーキングを妨げるという扱いになり、共通テストでは文法問題が消えました。

東葛中の英語は、開校当初ネットで特殊だと批判されていましたが、文科省が示した帰納的学習法だったのです。
少人数指導と研究に基づいた実践が功を奏し、積極的に取り組んだ生徒は多かったと思います。

一方で「演繹的」文法指導を求める保護者や生徒は、この方法に戸惑ったかもしれません。とはいえ、声を出して体を動かす授業に、生徒たちは少しずつ慣れていったように思います。

 

先生方の戸惑い


高校より1年早い2021年度、公立中学校で新指導要領がスタートしました。

小学校では文法を教えないのに、中学の教科書では、すでに文法は理解したものとして扱われていました。
新しい教科書に対する先生方の戸惑いを、こちらの動画で知ることができます。

2021年度【中学校】英語の教科書の変更点がヤバい。「中1で不定詞・動名詞!?」-YouTube


動画の終わりに、こんな言葉がありました。
「今までの英語教育の当たり前、体系的な文法指導をベースに新しい教科書を解釈してしまうが、もしかするとそれ自体が間違っているかもしれない。自分の言った事に自己矛盾があるように聞こえる」

このような戸惑いは、中学だけでなく高校の先生も同じように持たれたのではないでしょうか。
指導要領の狭間で、間違ったことをしないように、教科書と教材を読み上げる傾向が強まったとしても不思議ではありません。

コミュ英がつまらない


ユズは高校に入学すると「英語表現」と「コミュニケーション英語(コミュ英)」のうち、特にコミュ英をつまらないと感じるようになりました。

生徒が1人ずつ例題に答えるのをただ聞いているのも苦手でしたが、腑に落ちなかったのが評価方法。

授業中に当てられた生徒が、明らかに間違えたり、答えにならなかったとしても先生はスルーする一方、テストでは例文と少しでも違う表現を使うと✕になりました。

話すことの間違いに触れないのは、「間違いを恐れずに話す」という文科省の方針に沿ったからか、あるいはそこまで踏み込むのが無理だったのか。

ユズは、例文と違う表現を使うと✕になる理由を、先生に尋ねに行きました。
すると、それを認めると正誤の線引きが難しくなるから、というお話だったようです。
後から知りましたが、複数の1期生が同じように質問に行ったとのこと。

実は、全国的にコミュ英という教科自体が「暗記ゲー」になる傾向があり、
「コミュ英は無駄」
「ゴミ英」
と呼ばれる事が少なくなかったようです。
もちろん先生によると思いますが。

こちらの高校生新聞には、コミュ英で良い成績を取るために暗記をして「暗記こそ英語の勉強の本質」とまとめた記事がありました。
「コミュ英、無理ゲー」赤点連発の高校生が留年危機を脱した英語の点数アップ術|高校生新聞オンライン|


そんな評判の悪さもあってか、2022年度からは教科名が
「英語コミュニケーション」
と英語が頭に付くように変わるそうですね。

つまらなさを埋めるもの

英語がつまらない。
ユズはストレスを溜めていきました。
同じ悩みを持つ友人たちが声を掛けてくれて、朝早く学校に行ってアウトプット型の英語練習をする試みもしましたが、皆忙しく継続することができなかったようです。

もう耐えられない、と落ち込んでいた高1の秋。
何かヒントがないものかと、河合塾の大学入試セミナーに出かけました。

そのセミナーには、たまたま英語講師のミニ講義がついていました。
是枝先生という方で、その考え方がまさに、東葛中で教わってきたことと繋がりました。
ユズは、是枝先生の授業を受けることに決めました。
その授業が one wex、いわゆる「東大英語」のクラスだったのです。

その後、学年ごとに講師は変わりましたが、英語は柏校でone wexを受けて、東大入試に対応することができました。是枝先生に出会わなければ、その選択肢はなかったでしょう。

いくら東葛でも、様々なレイヤーで「つまらなさ」にぶつかる事はあるでしょう。
しんどくなったら、埋めるものをぜひ探してみてください。うちは課金するしかなかったけれど、何かが見つかるかもしれません。

学校の悪口めいたことを書きましたが、それが国の構造的な問題を含むことは丁寧に書いたつもりです。

中高の英語の接続が良くなかった事は、代表者の懇談やパブリックコメントですでに学校側に伝わっています。
他の自治体を見ても、公立学校は変わるのにとても時間がかかるのです。