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東葛中受検にまつわるエトセトラ

併設型都立中

平成31年度の一次の結果が発表されました。受検された皆さんは発表までの12日間、落ち着かない時間を過ごされたのではないでしょうか。毎年思いますが「待つ」という点でもつらい受検ですね。

さて今日は、都立中についての記事です。


【併設型都立中について】

先月、東京都が併設型都立中の、高校からの生徒募集を停止する方針を発表しました。
「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)(案)」の骨子について|東京都教育委員会ホームページ

都立中は10校あり
5校は中等教育=中学からしか入れない
5校は併設型=高校からも入れる
となっています。
千葉は千葉中も東葛中も併設型ですね。


この発表の5か月前、都は
都立中高一貫教育校 検証委員会 報告書
を発表し、併設型の問題点を指摘しました。

このことから関係者は、都立中はすべて中等教育化するのではないかと予想していましたが、これほど早く方針を転換するとは驚きです。



【併設型の問題点】

都が指摘した併設型の問題点とは、何だったのでしょうか。

併設型都立中の倍率は、6倍前後。
しかし高校入試になると、下の表のように1倍を切る学校の方が多くなります。
このギャップが、学力や意欲の差と絡んでいるとのこと。

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 (併設型高校の倍率推移 報告書p.48)



倍率が低い理由の1つが、中入生と高入生の割合です。

中入生120名に対し、高入生80名。
少数派となる併設型を避け、同級生と一斉にスタートできる高校を選ぶ傾向があるとのこと。

報告書には書かれていませんが、併設型には、先取り学習をする3校と、しない2校があるようです。

先取りをする学校では、高1で中入クラスと高入クラスが分かれるようです。
(ネット情報なので正確ではないかもしれません)

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(報告書p.52)

また、1倍を切る高校入試を行う教職員の負担も挙げられています。

ざっくりまとめると、少数派の高入生にエネルギーを注ぐのではなく、中等教育に統一して、6年間一貫教育をしたい、ということでしょうか。



【千葉県の場合】

平成30年度の千葉高校の倍率は、1.75倍(前期受検者÷募集人数)、前期に限ると3倍です。

東葛高校は、中入と高入が一緒になるのが来年度からなので、まだ倍率は分かりませんが、今年度は1.83倍。前期は3倍でした。


千葉が東京と大きく違うのは、中入生と高入生の割合です。

県千葉と東葛高校は、1学年320名。比較のため200名にすると
千葉県 中入生 50:高入生150
東京都 中入生120:高入生 80
となります。

また都立のように、学力や意欲が中入>高入と示されるような事態になっていません。

私が東京都の報告書に驚いたのは、「中入>高入」的な表現が使われていることでした。現在生徒さんが在籍する学校内で「どちらが上」という評価を、教育委員会が出すというドライさに、軽く衝撃を受けました。

具体的には、
・大学進学実績
・各種大会の実績
・英検の取得率
・生徒アンケートによる意識・態度(特に高3生)
で中入生の方がよいとのこと。
(報告書p.56)



「千葉県も中等教育にすべき」という意見もネットなどで見かけますが、教員やALTの確保を考えると、難しいように思います。

東京都の報告書でも、教員の確保と育成の難しさについてページが割かれています。

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(報告書p.67)

中等教育学校が1学年160人程と少数なのも、そういった事情があるのでしょうか?





東葛中設立当初、県は東葛の個性を壊そうとしているとか、高校も制服になる、などと噂を耳にしたのですが、今のところそのような気配は感じません。

たまに、「中学のせいで東葛は自由がなくなった」と言う人がいるようです。たとえば東葛高校は、今年度から遅刻を減らす取り組みをしているそうですが、これは現高1から大学受験で調査書が重視されるようになり、今まで見られなかった遅刻や欠席の扱いが変わる方向にあるからではないかと思います。


eポートフォリオとか英語四技能とか、入試改革は揉めに揉めており、今は大学側の反応に教育者が拍手したり反発したりしている状況ですが、学校や受験生としては粛々と対応するしかないですからね。


----------2019/1/25追記-----------
千葉では市立稲毛が平成34年度から中等教育になるようです。
稲毛高校の1学年は8クラスですが、他の中等教育学校と同じ4クラスになるようです(pdf資料)。
たしか稲附中は先取りをしていましたね。